
米国にF-1ビザで滞在するすべての留学生は、米国IRS(Internal Revenue Service:米国内国歳入庁)に対し、毎年税務上の手続きを行う義務があります。
収入の有無にかかわらず提出が必要な書類があるため、期限までに正しく手続きを完了させましょう。
概要と基本ルール
アメリカの税法上、F-1ビザ保持者は渡米後最初の5年間「非居住者(Non-Resident)」として扱われます(Exempt Individual)。非居住者の留学生は、一般的なアメリカ人(居住者)とは異なるフォームを用いて申告を行います。
主な提出書類と申告要件
| 提出書類 | 対象者 | 収入要件 | 提出期限 |
| Form 8843 | F-1留学生全員(および帯同家族F-2) | 収入の有無に関わらず必須 | 6月15日(単体提出の場合) |
| Form 1040-NR | 米国源泉の課税対象所得がある人 | 課税対象収入がある場合 | 4月15日 |
1. Form 8843(非居住者滞在報告書)
概要
「自分はF-1ビザの学生であり、アメリカの税法上の非居住者(Non-Resident)である」ことをIRSに宣言・申告するための書類です。税金を計算するためのものではなく、滞在状況の報告を目的としています。
- 提出対象: F-1留学生全員(およびF-2ビザ保持者)
- 収入要件: 無収入(米国での所得が0ドル)であっても提出が必要
- 提出期限: 該当年度の翌年 6月15日 まで(郵送必着または消印有効)
提出方法
無収入でForm 8843のみを提出する場合、オンライン電子申請(e-file)は利用できません。IRSのウェブサイトよりPDFをダウンロード・印刷し、必要事項を記入・署名の上、指定のIRSセンターへ郵送してください。
2. Form 1040-NR(非居住者用 確定申告書)
概要
米国源泉の所得(収入)がある留学生が、所得税の精算(確定申告)を行うためのフォームです。
- 提出対象: 米国で課税対象となる所得を得たF-1留学生
- 提出期限: 該当年度の翌年 4月15日 まで
課税対象となる主な収入例
- キャンパス内就労の給与(On-Campus Employment)
- TA(Teaching Assistant) / RA(Research Assistant)の給与・手当
- OPT / CPTによる企業でのインターン・就労収入
- 課税対象となる奨学金(Scholarship / Fellowship)
- ※授業料(Tuition)や必要教材費に充てられた奨学金は非課税ですが、生活費(Room & Board)として支給された部分は課税対象となります。
3. 日米租税条約の優遇措置(第20条)
日本国籍のF-1留学生は、日米租税条約(U.S.-Japan Income Tax Treaty)第20条(学生条項)の適用を受けることができます。
- 特典内容: 学業や生活を維持するために得る特定の所得(キャンパス内就労など)について、年間一定額までの所得税が免除されます。
- 申請手順: 免税を受ける場合でも、Form 1040-NRおよび租税条約適用に関する説明書類(Form 8833等)の提出が必要となります。
申告の手順とチェックリスト
- 必要書類の準備(1月〜2月頃)
- Form W-2: 雇用主(大学や企業)から発行される給与・税金証明書
- Form 1042-S: 奨学金や租税条約適用所得に関する証明書(該当者のみ)
- パスポート・I-20: 過去の出入国履歴およびSEVIS情報の確認
- 専用ソフトウェアの活用
- 大学の留学生オフィス(ISSS等)から、非居住者用ソフト(SprintaxやGlacier Tax Prepなど)のアクセスコードが提供される場合があります。一般的なTurboTax等は居住者用(Resident)のため使用しないよう注意してください。
- 書類の作成と提出
- 作成した書類の内容を確認し、署名・日付を記入して期限内に提出します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 無収入の場合でもForm 8843を出さないとどうなりますか?
直接的な金銭的ペナルティ(罰金)は規定されていませんが、将来的にアメリカで別のビザ(H-1B等)を取得する場合や、永住権(グリーンカード)を申請する際に、過去の税務コンプライアンス(法令遵守)証明として問題視されるリスクがあります。必ず毎年提出しておきましょう。
Q2. 家族(F-2ビザ)も提出が必要ですか?
はい。F-2ビザ保持者のご家族も、収入の有無に関わらず一人につき1枚のForm 8843を作成・提出する必要があります(未就学児含む)。
Q3. 日本からの仕送りや日本の銀行口座からの送金は課税されますか?
日本のご家族からの仕送りや、日本の個人口座から米国の口座への資金移動は米国での課税対象所得には含まれません。Form 1040-NRでの申告は不要です。
問い合わせ・サポート窓口
税務手続きに関する不明点や専用ソフトのコード発行については、所属大学のインターナショナルセンター(留学生課)または資格を持つ税務専門家(CPA等)にお問い合わせください。

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